アメリカの定番料理と聞いてすぐに思いつくものは何でしょうか? ステーキ、ハンバーガー、ホットドッグはもちろん、ピザやタコスを思い浮かべる方も多いでしょう。多くの国からの移民で形成されたアメリカでは、先住民と移民の食文化が合わさり、多様な料理を生み出してきました。今回は、アメリカの食文化と特徴、そして現地に行ったらぜひ食べたいおすすめ料理をご紹介します。
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アメリカの食文化と料理の特徴
アメリカの食文化は、アメリカを象徴する「人種のサラダボウル」という言葉からもわかるように、移民が母国から持ち込んださまざまな料理や食材、調味料が徐々に広まり、さらにアメリカ独自の進化をとげて現在に至っています。
アメリカの食文化
広大な国土に効率よく流通させるため、アメリカでは食品保存技術が発達し、缶詰や冷凍食品などさまざまな加工食品が売られています。ハンバーガーやピザなどのファストフードが発達したのも、豊富に収穫される小麦やコーンと冷凍食品などを活用して、簡単に食事をとろうとしたからだと考えられています。
ほとんどの地域でフレンチ、イタリアン、インディアン、中華、メキシカン、そして日本食など、多彩な料理が食べられますし、カリフォルニアや東部ニューイングランドなどにはご当地料理もあります。アメリカというと、食に対する良いイメージを持っていない人も多いと思いますが、最近では都市部を中心にグルメな人が増え、健康志向が高まり、高級食材も豊富に使われるようになっています。
量の多さにビックリ、デザートは甘くてカラフル
フランス料理などに見られる凝った味付けではなく、焼く、揚げるといったシンプルな調理法がアメリカ料理の特徴です。また、アメリカ人は大のトマトケチャップ好きで何にでもかけると言われているほど。それもそのはず、アメリカはトマトジュースと同じく、ケチャップ発祥の国でもあるのです。
アメリカの食文化の特徴はやはりそのボリュームにあります。ハンバーガーの大きさは日本の2倍が当たり前、レストランで注文すると山盛りのポテトフライがついてきます。サイズが選べるのであれば、多くの日本人にはSサイズまたは、Mサイズで十分でしょう。また、薄味に慣れている日本人にとっては全体的に味が濃く感じられるかもしれません。
デザートには砂糖がジャリジャリするほどふんだんに使われ、クリームやトッピングシュガーは原色に近いカラフルな着色料で彩られています。
アメリカ人の朝食・昼食・夕食
アメリカ人の1日の食事をのぞいてみましょう。アメリカでは朝と昼は軽め、夜はしっかりめに食べるというのが定番です。
朝食はシリアルで軽く
多くの家庭で、家族が思い思いに簡単な朝食を摂ります。定番のシリアルは種類豊富で、繊維質の多いもの、ドライフルーツやナッツが入ったもの、チョコレート味といった多くの製品が売られています。シリアルの上にかけるものも牛乳だけでなく、アーモンドミルク、ココナッツミルクなどを使い分けます。ベーグルなどのパン類、オムレツなどの卵料理、果物やヨーグルト、エン麦という全粒穀物を潰して加工したオートミールを牛乳などでおかゆ状にして食べるのも伝統的な朝食です。最近では野菜や果物を使ったスムージーも人気です。
昼食はファストフード
お昼時になるとビジネス街にはピザやホットドッグ、サンドイッチ、タコスなど手軽な食事を売るスタンドがずらりと並び、ビジネスパーソンはテイクアウトしてオフィスで食べます。職場や学校にカフェテリアがあれば、大抵のメニューを揃えています。仕事の打ち合わせや何かのお祝いのときを除き、日本のように上司や同僚と一緒にランチに出かけることはほとんどありません。お弁当を持参する人もいますが、日本のイメージとは異なり、タッパーにパスタやサラダを詰めただけ、ジッパー付きの袋にサンドイッチを入れただけという簡単なものです。リンゴやバナナなど果物だけで済ませる人も少なくありません。
夕食は肉料理を簡単に
アメリカ人の多くは家庭料理にあまり手をかけず、冷凍のミックス野菜を解凍したり粉末のマッシュポテトをお湯で戻して肉に添えるだけなど、加工食品を活用しています。ピザなどの宅配やドライブスルーも重宝されています。メインの肉料理は牛肉が多いイメージがあるかもしれませんが、近年その消費量は減ってきており、代わりに豚肉や鶏肉が増えているようです。所得格差の拡大で値段の安い肉に需要が流れているとの見方もありますが、健康志向の高まりも影響しているかもしれません。
本場で食べたい!アメリカの定番料理
アメリカに行ったらこれだけは食べておかないと損!という定番料理を紹介しましょう。
エッグ・ベネディクト
半分に切ったイングリッシュ・マフィンにハムやベーコン、サーモン、さらにポーチドエッグを乗せ、バターやレモン汁、卵黄などから作られるオランデーズソースをかけた料理です。料理の由来については諸説ありますが、ニューヨーク発祥という説が有力です。ナイフを入れるとトロトロの黄身があふれ出し、マフィンの食感との絶妙なハーモニーを楽しめます。
マカロニチーズ
チーズが大好きなアメリカ人に人気のマカロニチーズ。溶けたチェダーチーズでマカロニを和えたシンプルな料理で、インスタントや冷凍食品も数多くあり、手軽に作れる家庭料理としても定番です。
グリルロブスター
アメリカン・ロブスターは大きなハサミを持つオマール海老の一種で、その主な産地は東海岸です。日本にもある「レッドロブスター」はシーフードレストランチェーンとして有名ですね。ロブスターにはバターソースをかけるのが基本。グリルの香ばしさやプリプリした歯ごたえを楽しめます。
ミートローフとアップルパイは「おふくろの味」
この2つはアメリカの伝統的な家庭料理です。アップルパイは日本人にとっても馴染みが深いのではないでしょうか。ミートローフは男性が腕を振るうことも多く、「おやじの味」と言えるかもしれません。ともにバーベキューパーティーなどでもよく振る舞われます。
シーフード
海岸沿いのピア(埠頭)には多くの屋台やレストラン、海鮮市場があり、新鮮な魚介を楽しめます。中でも、獲れたての生シュリンプやクラムを盛り合わせたシーフード・カクテルは欠かせない一品。日本のわさびに似たホースラディッシュ入りトマトソースと一緒にシーフード・カクテルを堪能しながら海を眺めれば、至福の時を過ごせます。二枚貝をふんだんに使ったクラムチャウダーもおすすめです。
さまざまな食文化の融合がアメリカ料理の魅力
アメリカ人の食に対する意識はここ20年ほどでずいぶん変わってきました。以前は大都市のそれなりのレストランでもスペアリブはパサパサ、スパゲティは細切れでうどんのように柔らかく、フォークですくうように食べるしかありませんでした。中部の中華料理店は中国系以外のアジア人による経営も多く、ラーメンに素麺を使っている店もありました。それが今では、グルメな人々を唸らせるようなお店が増えています。