「社会人になったけれど、留学して新しいキャリアの可能性を作りたい…」
一度はそう思ったことがある方も多いと思います。
社会人留学のメリットは何といっても、英語力が身につくこと、そして日本にいては得ることが出来ない体験・経験が得られることです。海外に行けば、今まで常識と思っていたものが通用しない…。そんなことが頻繁に起こります。
しかし、社会人留学も良いことばかりではありません。長期間を海外で過ごすわけですから、会社を休職あるいは退職して行くことになるので、場合によっては社内の人事査定や転職活動においてマイナスに働く可能性があるのです。
社会人留学といっても、目的によって大きく異なります。MBA取得などスキルアップを目的とする留学と、自分についてよく考えたいリフレッシュを目的とする留学では準備するものも行き先も変わってきます。
今回は、この社会人留学にはどういう種類のものがあるのか、そして社会人留学のメリットやリスク、費用そして帰国後の就職活動のポイントについて書いていきたいと思います。
||目次||
目的別に見る社会人留学のスタイルとは?
社会人留学にはいくつか種類があり、大きく3つに分けることができます。
1. キャリアアップ型
海外の大学もしくは大学院に進学して学位を取得したり、企業のインターンシップに参加する。
●主な留学スタイルは?
大学・大学院留学や企業インターンシップ
●学士・博士号の取得
キャリアアップを踏まえて、海外で専門分野を学ぶ人が増えています。国際教養学、芸術学、経済学といった専門分野の学位を取得することになるため、高度な英語力が身につくのはもちろん、専門分野の知識が身に付き、就職が有利になるといわれています。明確なキャリアプランが決まっている人にはおすすめ。
既に学士を取得していて更に上を目指す人は、大学院進学という選択肢があります。中でも特に人気なのが、経営学の修士号が取得できる、MBA留学です。大学院進学には、高い語学力が求められます。そのため、ほとんどの場合は大学院へいきなり入学せずに「院進学コース」に入学して英語力を習得します。
●企業やNPO法人でのインターンシップ
即戦力採用となることが多く、ホテル、レストラン、カフェなど、サービス業・飲食業の仕事が多い傾向にあります。オフィスワークのインターンシップもありますが、高い英語力を求められます。滞在費用もまかないながら経験を積めて、海外のビジネスマナーを直接体感できるところが利点です。海外での就労経験を積みたい人にはおすすめです。
NPOやNGO法人におけるインターンシップは基本的にボランティアの場合がほとんどです。求められる語学力はそこまで高くない場合が多いです。インターンシップの期間はそのNPOのプロジェクトによります。ボランティア活動を通して、地域の人とコミュニケーションをとりながら異文化交流をしてみたいという方にはおすすめです。
●インターンシップの期間は?
募集職種・条件によってそれぞれですが、一般的には半年から2年くらい、長い場合だと4年ということもあります。
2. スキルアップ型
●主な留学スタイルは?
語学学校、大学付属の語学コース
●ニーズに合わせて語学力を磨く
語学学校や大学付属の語学コースの入学において高い英語力は問われません。また、レベル別学習のため、自分に合った語学学習を始めることができます。語学留学では、英語力の証明に使えるTOEICやTOEFLの試験対策コースや、大学への進学準備コースも用意されていることが多いです。特に、会議やプレゼンなどで使える英語を学べるようなビジネス英語コースや転職で有利になる試験対策コースが人気です。
また多くの語学学校では、放課後や週末に参加できるバーベキュー、マリンスポーツ、フラワーアレンジメントなど語学学習以外のアクティビティも企画しているので、他の留学生との交流だったり、身体を動かしてリフレッシュすることも出来ます。
●ボランティアしながら、語学を学べる
語学留学の中には、ボランティアとセットになっているものも存在します。
ボランティアは1~2週間で終了するものもあれば、長いものになると1年のものもあります。職種はチャイルドケア(児童教育)や介護がメインです。そのため、保育士や教員、介護士の経験があると非常に有利です。
3. スキルアップ+リフレッシュ型
●主な留学スタイルは?
語学学校、大学付属の語学コース等
●ワーキングホリデー
現地でアルバイトをしながら語学学校に通って、合間にボランティアや旅行をするというのが一般的な過ごし方です。自由にプランを組めるため、自分流のプランにカスタマイズできます。ワーキングホリデービザの有効期間はほとんどの国で1年ですが、オーストラリアのように期間を延長できる国もあります。異文化を楽しみ休暇を取りながら、のんびり語学学習をしたい方におすすめです。
●ワーキングホリデーの注意点
注意しておきたい点は以下の3つになります。
1.十分な貯金を準備する
ワーキングホリデーは、現地のアルバイトで生計を賄う必要があります。すぐに採用されないことも考えられるので、3ヶ月くらい働かなくても生活できるほどの貯金は準備しておいた方が良いでしょう。
2.年齢制限を確認する
ワーキングホリデーのビザ取得には年齢制限があります。国によって年齢制限等のルールは異なるので、事前に確認しておくのが得策といえるでしょう。
3.労働、通学できる期間を確認する
ワーキングホリデーでは、通学期間、労働期間も国によって定められています。渡航先のルールを事前に確認しておきましょう。
社会人留学をするメリットとリスク
社会人留学にはメリットがある反面、リスクも存在します。
社会人留学をするメリット
●英語力や専門スキルを身につけられる
まず確実に言えるのは、英語力を身につけることができるということ。また、学士や修士を取得する場合は、専門性の高い知識が身につくでしょう。現地の人と交流をしてネイティブの英語を学んできたという経験はかなり高く評価されるでしょう。
●異文化体験を得られる
国際ボランティアや外国での就労経験など、異文化コミュニケーションを通して得られた体験は日本では決して体験できないことです。その実体験は仕事にも活かすことができるでしょう。キャリアプランにおいて、自分に足りないスキルがはっきりしている場合、帰国してから転職する際にも、留学の理由を述べやすく非常に有利に働くでしょう。
社会人留学をするリスク
社会人留学におけるリスクは、帰国後の職場復帰もしくは再就職に支障をきたす可能性があります。以下の考えられるリスクを踏まえて、しっかりした対策を練りましょう。
●期待していたほど語学力が身につかないことがある
語学留学の場合、レベル別で授業が行われます。レベルの低いコースに入ってしまうと、日本人も多くいる場合があり、現地の人と交流をまともに行えなかったというケースも少なくありません。語学学校に通う場合は、事前に日本人の比率やクラスの国籍バランスなど確認しておくのも良いかもしれません。*カプランの全体での日本人割合は7%以下です。(2015年9月当校調べ)
●帰国後の自分のキャリアを明確にするのが難しい
帰国後のキャリアが明確になっていないと、再就職も転職も不利になる場合があります。
長い期間日本を離れることになるため、採用側としては「なぜ日本を離れたのか?」という疑問を必ず持ちます。留学前には、必ず帰国後のキャリアイメージをしっかり固めておきましょう。
社会人留学にかかる費用の目安
社会人留学は実際どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
大学・大学院留学、インターンシップ、語学留学、ボランティア、ワーキングホリデー別で費用例を載せているので参考にしてみてください。
※()がないものは全て1年間でかかる費用です。
●大学・大学院留学
場所によってまちまちですが、日本と比べると全体的に学費は高い傾向にあります。
アメリカの州立大学場合:
授業料+滞在費+食費=約325万円
奨学金制度
アメリカのアイビー・リーグや世界各国の名門大学、医学部や法学部といった専門的学部はさらに学費が高くなります。なので、奨学金を利用して入学するケースがほとんどです。
日本で募集されている奨学金
日本学生支援機構の第二種奨学金を除けば、ほとんどが無利子返済不要の奨学金です。渡航前に申請が必要です。申請条件は、それぞれ提供している機構や団体によって異なるので、必ず確認をしましょう。
海外で募集されている奨学金
成績優秀者、経済状況などの条件に基づいて発行されますが、他国の留学生も対象になるので、倍率は非常に高いです。
●インターンシップ(6ヶ月)
ベトナム(※航空券、住居、ビザ費用は会社負担)の場合:
授業料+滞在費+食費=約25万円
●語学留学
カナダ・バンクーバーで短期(6ヶ月)の場合
授業料+滞在費+食費=約110万円
カナダ・トロントで長期(1年)の場合
授業料+滞在費+食費=約260万円
●ボランティア
アイスランド(派遣ボランティア・プログラム)の場合
授業料+滞在費+食費=約150万円
●ワーキングホリデー
オーストラリア(※アルバイトで賄う)場合
授業料+滞在費+食費=約120万円
帰国後の就職活動のポイント
留学から何を学んだか明確にしておこう
社会人で留学をするのは相当な覚悟がいります。
ブランクが空いてしまうし、よほどの明確な目的がないととても行く勇気が持てない…となかなか一歩前に足を踏み出せない人のために、1つ留学の体験談をご紹介します。27歳でアメリカに1年間留学した女性の話です。
行く前は今後のキャリアのことなどとても心配だったけど、実際に留学に行ってみたら様々な国籍の人と交流しカルチャーショックを受けながら生活した1年間で語学力はもちろん、前向きに行動することの大切さを学んだ。帰国後は、未経験の仕事である海外貿易事務の仕事に就職できました。それも、海外留学で「なんとかなる」という前向きな気持ちと自信が身についたからです。
留学に行って何も学ばなかったということはありません。留学を通して、自分が何を感じ何に気がついたか。それを明確にするのが就職活動において大切なポイントになるでしょう。
企業側から見た社会人留学を知っておこう
●今も昔もMBA留学は評価が高い
そもそも、MBAという資格を取得すると何を得られるのでしょうか?MBAとは、Master of Business Administrationの略で、経営学修士号が取得でき、ビジネスにおける高度な知識を持っている証明になるため、社会的評価が非常に高いのです。
しかし、MBAがあるからといって面接や書類選考を無条件に通過できるわけではないので同様に努力の必要があります。あくまで、一つのステータスとして強みになるということです。持っているだけではあまり意味がなく、MBAの資格をどのように仕事に役立てるかを体系立てて説明できた方が良いでしょう。
●社会人留学はブランクとして受け取られることも
反面、留学はブランクと認識されてしまうこともあります。
採用側からすれば、「また、会社をやめてしまうのでは」といった定着しないイメージがどうしても拭えないのです。こういったマイナスな印象をいかに払しょくできるかが就職活動で成功するカギになるでしょう。
社会人留学に必要なのは、入念な準備とちょっとした勇気
確かに万全な準備は必要です。しかし、準備はいつまでもするものではありません。準備が済んだら、あとは一歩を踏み出す勇気です。社会人留学と聞くと、非常にリスキーなように思えますが、過去に多くの人が留学して新しいキャリアを開拓しています。そこまで恐れる必要はないと思います。
限りある人生、充実したものにしたいなら、恐れずに社会人留学してみませんか?