外資系企業に転職したい。海外で働きたい。外資系企業は給与水準が高かったり、異国に地で働くのは魅力的ですが、そんな場合に通らなければいけないのが英語面接。ただでさえ面接は緊張するのに、それを英語でやるのは大変です。
英語面接に備える場合、英語のフレーズを覚えるのに一生懸命になる人が多くいます。もちろん英語の言い回しなどを覚えることは重要ですが、それ以上に面接官が重要視していることがあります。
それはあなたが会社でどれだけ貢献できるかということです。この点が面接官に伝わらないと、いくら英語が流暢に話せても面接を通過するのが難しくなります。今回は、英語面接を通過するための準備の仕方とコツについて書きたいと思います。
自分が貢献できる人材であることを相手に伝える
面接の目的は「自分が相手先の会社でどのように貢献できるか」を面接官が納得するように伝えることにあります。なぜなら、採用担当者は会社の価値を高めるために人を採用するからです。自分が相手先の会社で貢献できることを伝えるためには、以下の3点を考えておく必要があります。
1. 募集職種でどういう人材が求められているかを知る。
2. 募集職種に合致する自分のスキルや経験を把握する。
3. 募集職種に合致する自分のスキルや経験を面接で伝える。
1.募集職種でどういう人材が求められているかを知る。
まず最初に、相手がどういう人材を求めているかを知る必要があります。そのためには職務内容と応募条件を把握しておくことが重要です。英語では募集職種でどんなスキルや経験が求めているかがJob Descriptionに書かれています。
Job Descriptionには通常、職務内容(Responsibilities)と応募条件(Requirements)が書かれています。両方ともよく読んでおきましょう。
Job Descriptionの例
募集職種:オンラインマーケティングのスペシャリスト
Responsibilities(職務内容)
Create, track, analyze and optimize paid search campaigns across Google, Yahoo and Bing.
(Google、Yahoo、Bingでオンライン広告のキャンペーンの作成し、分析、最適化を行う。)
Measure and report performance of paid search campaigns, and assess against goals.
(オンライン広告の効果を測定し、目標に対しての進捗をレポートする。
Requirements(応募条件)
2-3 years’ experience executing and optimizing direct response SEM campaigns with a proven ability to increase ROI.
(2,3年のオンライン広告の実務経験。広告の最適化をおこない、費用対効果を改善した実績。)
Self-starter who is able to work both independently and collaboratively in a team environment.
(一人、またはチームと協力して仕事ができるセルフスターター。)
上記の例では、オンライン広告の担当者を募集しており、オンライン広告に関する実務経験と、広告の費用対効果を改善させるためのスキルを求めていることが分かります。そのほかにも「レポートする」や「自発的」などのキーワードが出てきています。
Job Descriptionをよく読むことで、募集ポジションで求められているスキルや資質が分かってきます。
2. 募集職種に合致する自分のスキルや経験を把握する。
次に、募集職種で求められているスキルや経験に合致する自分の経験や実績を洗い出します。
例えばオンライン広告の実務経験がある場合は、具体的な内容と実績を書き出します。このときに便利なのがMarian K. Woodallが著書"Thinking on Your Feet"で紹介している方法です。
紙を1枚使って左半分に募集職種に必要とされるスキルや経験を書き出し、右半分に合致する自分の経験やスキルを書き出していきます。
3. 募集職種に合致する自分のスキルや経験を面接で伝える。
1と2では相手が求めているスキルや経験を知り、それに合致する自分のスキルや経験を把握しました。
あとは面接のときに、合致した自分のスキルや経験をなるべく多く相手に伝えるだけです。
具体的な質問例を説明するまえに、自分のスキルや経験を上手に伝えるためのテクニックを次に紹介します。
自分の実績を伝えるにに有効なSTARメソッド
1~3を通して面接で必要な基本的な情報は揃いました。ただし、これらの情報がきちんと面接官に伝わらなければ意味がありません。自分の経験や実績を伝えるのに有効なテクニックを紹介します。このテクニックはSTARメソッドと呼ばれており、Situation(状況)、Task(仕事)、Action(行動)、Result(結果)の頭文字をとった言葉です。それぞれを書き出すことで1つのストーリーが出来上がります。
Situation(状況)
どういう状況だったかを書き出します。(誰が、いつ、どこで、何を、どのように)
例文
At company XYZ, there was a client which was unhappy with the results of the marketing campaign which my colleague has proposed.
(XYZ社に勤めていたとき、同僚が提案したマーケティングキャンペーンの結果に対して、クライアントが不満を持っていました。)
Task(仕事)
その状況のなかで、自分にどんな仕事が課せられていたかを書き出します。
例文
I took over the account in order to improve the relationship with our client.
(クライアントとの関係を改善させるために、私がクライアントの担当を引き継ぎました。)
Action(行動)
具体的に自分がどういう行動をとったのかを書き出します。
例文
I immediately set up a meeting with the client and proposed a new marketing strategy.
(直ちにクライアントとミーティングを設定して新しい戦略プランを提案しました。
Result(結果)
行動をとった結果、どのように結果に結びついたのかを書き出します。結果をデータで示すとより説得力が増します。
例文
The new marketing strategy increased our client’s sales by 30%.
(新しいマーケティング戦略はクライアントの売り上げを30%増加させました。)
They increased their marketing budget 100% and became one of our biggest clients.
(クライアントはマーケティング予算を100%増額し、会社にとって一番大きなクライアントになりました。)
どうでしょうか?自分の実績を伝えるのにSTARメソッドを使うことで、分かりやすいストーリーが出来上がることが分かったと思います。
STARメソッドは自分の頭の中を整理するのにを役立ちますし、何より面接官に分かりやすく伝えられるようになります。
STARメソッドを使って3個以上のストーリーを作ることをおすすめします。
英語面接で良く聞かれる質問と答え方のポイント
次に実際の面接でよく聞かれる質問を紹介していきます。これらの質問に対して答えられるようにあらかじめ準備をしておきましょう。
質問: Tell me about yourself. (あなたのことについて教えてください。)
自己紹介系の質問は、面接の最初によく聞かれる質問です。曖昧な質問なので準備をしていないと回答に困るかもしれません。注意しなければいけないのは、面接官は本当はあなたの生い立ちについて知りたいのではないということです。
この質問で面接官が本当に知りたいのは、あなたが募集職種と関連がある経験をどれだけ積んできたかということです。
募集職種と関連する自分の強みと志望理由を、1分程度で伝えられるように練習しておきましょう。
例文
“I was born and raised in Japan and have studied abroad in the US for 1 year during college. I do speak both Japanese and English fluently and have experience working in multinational companies. During the last 3 years with the ABC Corp, I have progressed through positions of online marketing executive and online marketing manager.
"In my most recent position, I have had the opportunity to create the annual marketing plan and present it in front of the senior management team. I enjoy being a manager and the opportunity to empower and motivate my team.
"Last year I was awarded the best employee of the year. I believe this experience has prepared me to take the next step and pursue a management position with XXX Corp.”
日本語訳
「私は日本で生まれ育ち、大学生のときに一年間アメリカに留学をしました。私は日本語と英語が流暢を話すことができ、多国籍企業で働いてきた経験があります。ABC会社での3年間では、オンラインマーケティング・エグゼクティブからオンラインマーケティング・マネージャーに昇進しました。」
「直近のポジションでは、年間マーケティングプランを作成し、経営陣にプレゼンテーションをする機会がありました。チームのやる気を引き出すマネージャーの役割にやりがいを感じています。」
「昨年は、最優秀社員賞を受賞しました。この経験からXXX会社で管理職に就くための準備ができたと感じています。」
質問: What are your strengths? (あなたの強みについて教えてください。)
あなたの強みを2つ、3つ選び、それを具体例で説明できるようにしましょう。この質問でSTARメソッドで書き出した内容が使えます。
例文
“I have excellent interpersonal skills and excel in dealing with clients. For example, at company XYZ there was a client which wasn’t satisfied with the results of the marketing campaign which my colleague has proposed. I took over the account and immediately set up a meeting with the client and proposed a new strategy. The new strategy increased the sales by 30% and as a result, they increased their marketing budget 100% and became one of our biggest clients.”
日本語訳
「私は対人スキルに秀でており、クライアントと良い関係を築くことができるのが強みです。例を申し上げると、XYZ社では同僚がクライアントに提案したマーケティングプランにクライアントが不満を持っていたことがありました。そこで私がそのクライアントを引き継ぐことになったのですが、そのときには私は直ちにクライアントとミーティングを設定し、新しい戦略を提案しました。その戦略を実行した結果、クライアントの売り上げは30%増加しました。その結果クライアントは予算を100%増額し、会社にとって一番大きなクライアントに成長しました。」
質問: What are your weaknesses? (あなたの弱みについて教えてください。)
弱みがありませんと答えるのと相手に傲慢に思われるので避けましょう。また、自分の弱みを必要以上に相手に話す必要もありません。ここでは、相手に大きな問題だと思われない程度の自分の弱みを相手に伝え、弱みを改善するためにどんなことをしているかをあわせて伝えましょう。
例文
"At the beginning of my career I found I was overwhelmed with the level of work expected of me, but I have since attended a number of time-management seminars and feel that this is no longer an issue."
日本語訳
「キャリアを始めたばかりのときは、期待されている仕事量が多すぎてついていけませんでした。それからは時間管理のセミナーに参加して改善に努めたので今は問題だとは感じていません。」
最後に質問がありますか?と聞かれた場合にどうする?
“Do you have any questions?” (何か質問はありますか?)
面接の最後に良く聞かれる質問です。No I don’t(ありません)と答えるのは相手への関心が薄いと捉えられるので、必ず質問は考えておきましょう。自分が相手先の会社についてより知ることができるチャンスでもあります。
質問は3つぐらい用意しておくのが安心です。ポイントは、自分が相手先の会社で働くことになった場合を想像して質問をすることです。
職種に関する質問例
What is a day or week in the life of this position like?
(この仕事に就いた場合の1日、あるいは1週間の流れについて教えください。)
What is the history of this position? Is it newly created? If not, why did the previous person leave it?
(このポジションを募集している背景を教えていただけますか?新設されたポジションですか?そうでなければ、前任者が辞めた理由を教えていただけませんか?
How will you define success for this position?
(この仕事に就いた場合、何を持って成功と見なすのかを教えていただけませんか?
会社に関する質問例
What’s the company culture like? Do co-workers eat lunch together? Do you have regular team events?
(会社のカルチャーについて教えてください。社員同士でランチに行ったりしますか?定期的にチームイベントを開催したりしていますか?)
最後にお礼を言うことを忘れずに
面接が終わったあとは、相手と握手をしてお礼を忘れずに言いましょう。最後に残す印象も重要だからです。また、家に着いてからお礼のメールをするとさらに良いでしょう。
例文
Thank you very much for your time today.
(今日はお時間をいただきどうもありがとうございます。)
まとめ
いかがでしたでしょうか?ここまで英語面接を通過するための対策と心構えについて説明しました。
準備にはそれなりに時間がかかりますが、しっかり準備することで英語面接の結果が驚くほど変わることが実感できると思います。
また、ここでお伝えした内容は英語面接だけでなく、日本語の面接でも使えます。是非とも覚えて面接で結果を残して自分の望むキャリアを実現させましょう。
参考文献
http://www.artofmanliness.com/2014/09/10/10-questions-to-ask-in-a-job-interview/
http://www.artofmanliness.com/2012/08/06/how-to-ace-a-job-interview/
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